9匹のあひる

不思議な言葉でお話ししましょ

お母さんは嘘つき

お母さんは嘘つき。私の9歳の誕生日にたばこをやめると言ったのに。 お母さんは便所でたばこを吸うのが好きみたい。ずっとトイレにこもってたばこを吸ってる。安いヤニの付いたペーパーバックをずっと読んでる。私が小便をしたくなって、トイレに行って声を…

緑物語2

今日は1/1。元旦です。緑ちゃんは目を覚ましました。まだ眠い目をこすり、目のざらざらをとりました。年が変わったからといって、特になにか変化が起きるわけがありません。急に関西弁しか話せなくなるとか、そういうのもないのです。そうなったら、めっちゃ…

緑物語1

その液体は腕の中をスルリと抜けていきました。ドンという音とともにそれは走っていきました。四肢が唸り、身体を躍動させながら。 緑ちゃんは猫を飼っていました。自分の膝の上で眠る猫が大好きでした。それはとても暖かく、優しいのでした。もう死んじゃっ…

酸性雨と幻

「自立」が「連帯」への嫌悪を吐き出し 「主体」が「みんな」という客体を拒絶する 「主体」が「客体」へと転落を感じる この呪われた主体は「孤独」を前提にしてしまう 「孤独」であることを特別だと思う呪われた主体 我々は、自らに呪いをかける呪術師であ…

悲しみ芝居

夢に噛みついてみました とても酸っぱかった 汗の味がしました 貧血が治りました 飢えた野良犬みたい 肋骨を剥き出したまま わたしは走り出します 小さな石につまずきました わたしは転びました 前が見えなくなりました 真っ暗になってしまいました 発展のた…

夏への手紙

拝啓、夏 初夏の候、梅の雨と共に、日差しが肌を切り裂く季節となりました。メラニン色素が慌ただしく泡立ちます。 さて、夏は夏をどうお過ごしでしょうか。たいそう居心地が悪いのではないか思われます。あなたはとても身体が弱く、幼少期から病院の白いシ…

障子にペニスを突き立てた季節を知っていますか?

不幸の華やぐ音がします。 不幸の踊る気配がします。 あなたも不幸と踊りませんか? この蜜を一度吸えば、もう二度と戻れません。 それでもあなたは不幸に溺れたいですか? とっても気持ちいいですものね。 不幸とまぐわうのは。 不幸との逢い引きほど、幸せ…

障子にペニスを突き立てた季節を知っていますか?

不幸の華やぐ音がします。 不幸の踊る気配がします。 あなたも不幸と踊りませんか? この蜜を一度吸えば、もう二度と戻れません。 それでもあなたは不幸に溺れたいですか? とっても気持ちいいですものね。 不幸とまぐわうのは。 不幸との逢い引きほど、幸せ…

ママが発狂したんだ-4-

ママが発狂したんだ。 「幼虫の世界と蝶の世界は同じではありえないのよ!どうしてなの!」 「それが成長っていうことなんじゃないの?」 「成長?くだらない。成長することはいいことなの?幼虫よりも蝶のほうが美しいとでもいいたいの?寂しさの舞う場所は…

ママが発狂したんだ-3-ママの「心」について

ママが発狂したんだ。いつものようにね。今日はどうしようかなって考えた。でも、話さなきゃならないと思うから話すね。ママの「心」について。ママの心象風景まで書ききれるといいんだけど、それは、どうだろう、ちょっとまだ難しいかもしれない。だって、…

ママが発狂したんだ-2-

ママが発狂したんだ。だらしなく舌を垂らして、そこからお得意のよだれをビヨー、ビヨーってさせてる。その垂れる気泡の混じる透明な液体が胸に落ちていくんだ。それをママは、赤く伸びる舌を使って追いかけていく。横から見ている僕は、肉としての赤さを称…

直木賞受賞作『月の満ち欠け』で驚いた

品川で新幹線を降り、駅にある本屋さんになんとなく立ち寄った。くだらないビジネス書や、頭の悪そうな文章が乱立していた。その中で異彩を放つ装丁を見つけた。岩波文庫の白帯である。どうして岩波文庫が?それによりによってなぜ白帯なのか?さっぱりわか…

部屋のお話し。それと女王のお話し。あと女子力について。

部屋の中は雑然としている。まったくのランダムに物が置かれている。壁に掛けられた大きな女の写真だけが、その部屋で異質さを放っている。部屋の壁側に置かれた机の上には、電子ピアノが置かれ、その電子ピアノの上には、本が積まれている。ジャンルはバラ…

煙草のお話し。それと感情のお話も。豆乳のお話しもついでに。

煙草に火を付ける 赤から白っぽい紫が揺れ始める 上を目指し、しかし、幾度となく挫折する その姿は、立派なものではないか 皮膚病のおかげで全身が赤茶色した猫に餌を与えては 愉悦足る者共よ 「辛かったね、痛かったね、もう大丈夫よ」と 同情し、涙を耕し…

私たちが生まれたときのお話し。それと大人のお話し

ふと思い出す 愛惜のものとして 皮肉にも、私たちの過去はこれでしかない ただただ黒く、暗い景色の万華鏡 こうしたものに私たちは五感を投げ入れる そして、懐かしさに胸が憂いる 熟した林檎のように 秋の夕焼けの美しさの中で寂しそうに揺れる ススキのよ…

ママが発狂したんだ

ママが今日も発狂したんだ。ママは昨日も発狂した。一昨日だってそうだったんだ。右手の指が5本あるってことにね。 「私の指はきっと3本だったはずよ!なにが悲しくて5本なのよ!」 ママはそう言って、親指と薬指に噛みつくんだ。そのおかげでママの右手の…