2019-01-01から1年間の記事一覧
品川で新幹線を降り、駅にある本屋さんになんとなく立ち寄った。くだらないビジネス書や、頭の悪そうな文章が乱立していた。その中で異彩を放つ装丁を見つけた。岩波文庫の白帯である。どうして岩波文庫が?それによりによってなぜ白帯なのか?さっぱりわか…
部屋の中は雑然としている。まったくのランダムに物が置かれている。壁に掛けられた大きな女の写真だけが、その部屋で異質さを放っている。部屋の壁側に置かれた机の上には、電子ピアノが置かれ、その電子ピアノの上には、本が積まれている。ジャンルはバラ…
煙草に火を付ける 赤から白っぽい紫が揺れ始める 上を目指し、しかし、幾度となく挫折する その姿は、立派なものではないか 皮膚病のおかげで全身が赤茶色した猫に餌を与えては 愉悦足る者共よ 「辛かったね、痛かったね、もう大丈夫よ」と 同情し、涙を耕し…
ふと思い出す 愛惜のものとして 皮肉にも、私たちの過去はこれでしかない ただただ黒く、暗い景色の万華鏡 こうしたものに私たちは五感を投げ入れる そして、懐かしさに胸が憂いる 熟した林檎のように 秋の夕焼けの美しさの中で寂しそうに揺れる ススキのよ…
ママが今日も発狂したんだ。ママは昨日も発狂した。一昨日だってそうだったんだ。右手の指が5本あるってことにね。 「私の指はきっと3本だったはずよ!なにが悲しくて5本なのよ!」 ママはそう言って、親指と薬指に噛みつくんだ。そのおかげでママの右手の…