9匹のあひる

不思議な言葉でお話ししましょ

2020-01-01から1年間の記事一覧

緑物語1

その液体は腕の中をスルリと抜けていきました。ドンという音とともにそれは走っていきました。四肢が唸り、身体を躍動させながら。 緑ちゃんは猫を飼っていました。自分の膝の上で眠る猫が大好きでした。それはとても暖かく、優しいのでした。もう死んじゃっ…

酸性雨と幻

「自立」が「連帯」への嫌悪を吐き出し 「主体」が「みんな」という客体を拒絶する 「主体」が「客体」へと転落を感じる この呪われた主体は「孤独」を前提にしてしまう 「孤独」であることを特別だと思う呪われた主体 我々は、自らに呪いをかける呪術師であ…

悲しみ芝居

夢に噛みついてみました とても酸っぱかった 汗の味がしました 貧血が治りました 飢えた野良犬みたい 肋骨を剥き出したまま わたしは走り出します 小さな石につまずきました わたしは転びました 前が見えなくなりました 真っ暗になってしまいました 発展のた…

夏への手紙

拝啓、夏 初夏の候、梅の雨と共に、日差しが肌を切り裂く季節となりました。メラニン色素が慌ただしく泡立ちます。 さて、夏は夏をどうお過ごしでしょうか。たいそう居心地が悪いのではないか思われます。あなたはとても身体が弱く、幼少期から病院の白いシ…

障子にペニスを突き立てた季節を知っていますか?

不幸の華やぐ音がします。 不幸の踊る気配がします。 あなたも不幸と踊りませんか? この蜜を一度吸えば、もう二度と戻れません。 それでもあなたは不幸に溺れたいですか? とっても気持ちいいですものね。 不幸とまぐわうのは。 不幸との逢い引きほど、幸せ…

障子にペニスを突き立てた季節を知っていますか?

不幸の華やぐ音がします。 不幸の踊る気配がします。 あなたも不幸と踊りませんか? この蜜を一度吸えば、もう二度と戻れません。 それでもあなたは不幸に溺れたいですか? とっても気持ちいいですものね。 不幸とまぐわうのは。 不幸との逢い引きほど、幸せ…

ママが発狂したんだ-4-

ママが発狂したんだ。 「幼虫の世界と蝶の世界は同じではありえないのよ!どうしてなの!」 「それが成長っていうことなんじゃないの?」 「成長?くだらない。成長することはいいことなの?幼虫よりも蝶のほうが美しいとでもいいたいの?寂しさの舞う場所は…

ママが発狂したんだ-3-ママの「心」について

ママが発狂したんだ。いつものようにね。今日はどうしようかなって考えた。でも、話さなきゃならないと思うから話すね。ママの「心」について。ママの心象風景まで書ききれるといいんだけど、それは、どうだろう、ちょっとまだ難しいかもしれない。だって、…

ママが発狂したんだ-2-

ママが発狂したんだ。だらしなく舌を垂らして、そこからお得意のよだれをビヨー、ビヨーってさせてる。その垂れる気泡の混じる透明な液体が胸に落ちていくんだ。それをママは、赤く伸びる舌を使って追いかけていく。横から見ている僕は、肉としての赤さを称…